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東北学院大、集中講義紀行 西岡虎之助映画の評判

昨年のサマーセミナーで元気が良すぎて、七海氏に
4日間集中講義で仙台に出講させていただいた。
約50人の受講生を相手に、3日間「失われた中世
紀州惣国の社会史」
を話して、最終日の今日は
『西岡虎之助、一枚の絵の語るもの』を上映し
疑問・不明点・感想を書いてもらい、それに応答して
総括に替えるという趣向。帰りの車中であらためて
アンケートを読みなおす。

 虎之助を初めて知る学生にとってはかなり難解
だったはずだが、
「一枚の絵の真相を探るバスツアーという形で
進行し興味深かった」「実際に自身がバスツアーに
参加して西岡を学んでいる気分になった」
「インタビューや現地取材で画面が変化して飽きずに
みれた」「台風被害や温かい景色が撮られて
和歌山への思いが伝わった」「証言濃かった」

など演出効果を評価してくれる意見もあった。
★その一方で、和歌山での証言に偏り過ぎで、
「虎之助が現代歴史学にどのような影響を与えたのかを
細かく示して欲しかった」「(大逆事件の影響を強調するが)
西岡が天皇制に対してどのような思想をもっていたか
説明しておく必要がある」
など西岡史学の解説が
足らないとの意見があった(重くてもってけなかった
図録を送りますからリクエストください
)。やはり
3年間科研費研究で究めて「東京時代篇」を撮るか。
★証言映像の部分について、「関西弁が早い」
「聞き取りずらい」「テロップが欲しい」
など
1/3ちかい関西方言への苦情が書かれていた。
これは初めての反応だったので、東北の学生
には異国語だった模様。江戸っ子の私も、
知らず知らずに関西異文化圏に溶け込んだか。
(けど、これ以上の字幕はうるさいかと)。
★岩倉さんが虎之助の中学受験失敗を推理
している部分(高等小学校主席は中学絶対
落ちない)に、かなり疑問が集中していた。
「成績による落第でないとするなら何故
『わが人生最初の挫折』と回想しているのか
矛盾じゃないか」
という意見。単にすべった
のでなく、因果を含められて断念という、
より心の傷になる挫折もありえたのでないか。
(この質問だけでなく、教職義務年限違反や
丁稚奉公など、農家の次男をめぐる教育事情
について、学生たちには理解ができてない)。
★劇内講義の開口一番、私は「歴史学と歴史
教育の救世主」
と西岡評を述べたが、これも
プロテスタントの東北学院生には過剰な言葉
イメージ作っただろう、と反省(アンケートに
この言葉が頻出してくるので。)

★「歴史研究には史料の解読も大切だが、多くの
人への聞き取り調査や絵などの考察も大切だと
わかった」「ただ一枚の絵の謎解きのため、
ツアーをやったり証言映像撮ったり、まさに
これが‘研究者‘だと思わせられるドキュメン
タリだった」…
わが意を得たり。卒論頑張って。
★ 「すさみ町見老津の海津説のほうが絵の風景に
近いと思った」…
これは絶対違いますので

★BGMの海津ゼミテーマ曲は、賛否両論半ばで
「雰囲気を壊して集中して観ることができなかった。
制作したディレクターにいら立ちを感じた」

酷評も。ここは樋渡Dの責任ではなくて、監督の
海津の感性です(海津ゼミのテーマ曲。
「予告編は樋渡Dの暴走だ」と話したので誤解?)
左下のリンクから西岡映画予告編でご覧ください
★これに対して、エンディングの松下千絵朗読
(同氏原作の脚本)は非常に好評だった。
はっきりした聞き取りやすい語りとわかりやすい内容
「最後の朗読でやっと生まれてから死ぬまでの生涯
がわかった」「教科書には肝心の事は書いてない、
とありましたが、いつの時代もそうなのだと思い
ました」「小学校教員を辞めると何故家族が困る
のか、最後のナレーションで初めてわかった」
等。

4日間お疲れ様。

根来寺前夜祭?織豊研大会 IN和歌山

和歌山市博にて3日間の大会
2日目・研究報告のトリは
廣田浩治氏の「根来方下和泉一揆の終焉」
新谷和史氏の「和歌山城成立の政治史的意義」
 
ともに、根来論集の合評会を企画してくれた
立役者の報告だけに、前哨戦かと思って馳せ
参じた。同じ想いか、とくに声掛けなかったが
坂本・武内両氏も来てた。
 廣田氏は、大永2年「惣国の百姓」徳政の
新出聖教↓
に、さらっと触れただけで引用せず、
特に突っ込まず(ショック)、新谷氏も
「イリャドス・ラドロイス」帝国の滅亡には
言及してくれなかった。では本番にてご意見を
拝聴。↓これです
http://wakayamau.blog116.fc2.com/blog-entry-219.html

 海津篇・根来寺論集の合評会は、1月25日
大阪歴史学会中世史部会主催で大阪にて

 廣田氏は司会、新谷氏は批判者4人衆の先鋒。

*まず何より割愛栄転の播磨会長にご挨拶。
播磨説無断引用のお詫びを。「ブログ論争を
そのまま本にしてしまうとはあいかわらず
海津君らしいね」と笑ってご寛恕?くださった。


NHK歴史秘話 印南の雑賀踊り(承前)

NHK歴史秘話ヒストリアで全国区になった
印南の雑賀踊りについて。昨夜の続き。
 
5年前の3月3日に矢の宮神社にて奉納舞を
お願いしたのだが、印南の地方(あげ)という
地区が、秋の印南山口八幡宮の大祭で必ず
他6地区に先立って第一番に奉納するという
輪踊り。雑賀衆は、特定の家筋ではなく、地区の
指導者層を構成員とする年齢階梯の組織で、
(宮座の組織の乙名層)自治会そのものが
運営主体。つまり青年会は獅子舞、年寄衆は
雑賀踊り、という座的な構造をとった村ぐるみの祭礼で
奉賛会のような形式は用いていない。5年前
観光学部のルネサンス経費から謝金を支払う時に
地区(自治体)宛てには出せない。ということで
大学会計と難渋した記憶がある。このように古態の
伝承形式を維持している上に、女性や余所者は
八幡宮の本祭では踊らせない、など厳しい禁忌
が(5年前までは)維持されていた。その上、
奉納する際には、地区内の湯河分家末裔家に
まず渡御するなど、中世惣国の秩序をほうふつ
とさせる遺制が残っていた(石田晴男氏の
論じたように雑賀衆と湯河氏とは強い同盟
関係にあった…)。
 などなど、NHKで全国に見参した印南
雑賀衆の踊りを見ながら、感慨にふけった。
詳しくは、昨日条の観光学部・野田さんに
お尋ねくださいますように。野田卒論が
「雑賀踊りの起源」で、和歌山県立博物館
研究紀要で活字論文になってるスグレモノ。
お訪ねすればコピーをくれるでしょう(きっと)。

 今月12・13日が矢の宮神社の夏祭り。
野田さんの特訓講習をうけて、ゼミ生たちと
ひさびさに奉納してこようか…。

印南の雑賀踊り(ケンケン踊り)見参

昨日放送のNHK歴史秘話ヒストリアの新聞広告に
「山里に伝わるフシギな踊り?」とあったので、
ひょっとして、と期待して見たらやはり印南の
雑賀踊りがしっかり紹介されていた。青木さん
中島さんら懐かしい雑賀衆面々の見参。

 雑賀踊り
 鈴木孫一が1577年織田信長の雑賀侵攻に際して
小雑賀で遊撃戦争を行って講和に持ち込んだ際の
奉賽の舞
と伝承される風流で、近年古態の図様の
屏風がみつかった(和歌山大学紀州研所蔵)。
130704_1307~01
(@岡吉君子 和歌浦図屏風部分トレース図)

 観光学部の野田阿紀子氏(観光教育研究センター)が
ながらく研究を重ねて印南地方と交流して世に出した
成果で、今回NHK全国放送を通じて全国区の
歴史遺産として広まった。まことに喜ばしい限り。
見逃した方ー再放送は7月9日(火)深夜の由

ぜひ和歌山大学観光学部をおとづれて野田さんから
指導をうけよう(お問い合わせは073-457-8553
観光教育研究センター野田阿紀子)。下の画像は、
昨年の新歓時期に、海津ゼミ+αが野田さんから
伝習されたときの動画ですのでご参照を↓。
http://www.youtube.com/watch?v=aObNWJUpo0s&feature=youtu.be

もうひとつ。システム工学部の河川工学スタッフの
協力を得て作った太田城水攻めDVDの公開映像。
mms://ai6sys3.sys.wakayama-u.ac.jp/ohta/1.wmv
できたら渡辺あゆみサマには出水堤防上から号令
していただきたかったが、先週も高松城で被ってた
からやむを得ないか。

同成社刊 『中世都市根来寺と紀州惣国』のご案内

覚鑁生誕日の本日6月17日を奥付にしたのは、
同成社担当の粋なお計らい。乞うご検討。

『中世都市根来寺と紀州惣国』 [中世史選書13]
            武内雅人
            鳴海祥博
            海津一朗
            坂本亮太
            山川 均
            三好英樹
            湯峯 愛
ISBN978-4-88621-635-9 C3321
 (同成社 定価7665円<税込>A5判・368頁)

口上
大湯屋・坊院・大門池・城郭など、第二次保存運動
の過程で明らかになった重要遺構と新出文書を、
考古学(武内雅人・山川均)・建築学(鳴海祥博)・
文献史学(海津一朗・坂本亮太・三好英樹・湯峯愛)
から徹底分析。アジア海域世界にネットワークを
もつ根来惣国の首都、中世根来寺を解明する。


【目次】
 序章 研究史のなかの根来     (海津一朗)
     1節 「山の寺」都市史の視点 
     2節 惣国の首都
     3節 倭寇世界の拠点都市
     4節 本書の構成
Ⅰ 首都の周縁
 第一章 大湯屋発見とその意義
     1節 遺構の発見     (武内雅人)
     2節 建築遺構の復元   (鳴海祥博)
     3節 大湯屋騒動の歴史的背景(海津一朗)
 第二章 根来大門池の発掘調査と『根来寺伽藍古絵図』(山川均)
     1節 発掘調査前の大門池の状況
     2節 「古絵図」との比較
     3節 発掘調査成果との対比
     補論 結界としての大門・大門池(海津一朗)
 第三章 根来の要害発見―旧県会議事堂移転用地の発掘調査―(武内雅人)
     1節 調査地の状況
     2節 発見遺構
Ⅱ 首都の中枢
 第四章 根来寺伽藍の成立     (三好英樹)
     1節 根来寺と『根来要書』
     2節 高野山離山と「帰住大訴」
     3節 中世根来寺伽藍の成立
 第五章 根来寺境内の景観と構造  (武内雅人)
     1節 古絵図の世界
     2節 根来寺境内の統治と自治
     3節 発掘調査から知る都市の景観・構造
     4節 都市の滅亡
 第六章 大伝法院伽藍の変遷    (鳴海祥博)
     1節 大伝法院の沿革
     2節 高野山大伝法院の伽藍
     3節 根来寺大伝法院の伽藍
     4節 大伝法堂の変遷
     5節 大塔の変遷
 第七章 復元・学侶方寺院の構造  (鳴海祥博)
     1節 遺構の概要
     2節 建築遺構の復元
     3節 類例との比較検討
Ⅲ 根来惣国の世界
 第八章 紀州惣国一揆と根来寺   (海津一朗)
     1節 根来惣国の発見
     2節 根来寺勢力圏の形成過程
     3節 大永の根来惣国徳政
     4節 根来惣国徳政にみる首都根来寺
     5節 都市根来の法
 第九章 佐武伊賀働書から読み取る根来寺行人らの世界(武内雅人)
     1節 行人と信仰
     2節 行人の徒弟制度
     3節 子院の重層的構造
     4節 境内自力救済戦闘のルール
     5節 軍事行動
     6節 兵力としての俗名人物
 第十章 惣国の国境―日前宮領との境界相論―(湯峯愛)
     1節 日前宮の一円神領形成における山東荘との相論
     2節 相論に至るまで
     3節 相論の経過
     4節 聖たちの活動
     5節 「威光上人」と国造家のつながり
 第十一章 寺内と寺外をつなぐ修験道の人びと(三好英樹)
     1節 根来寺の山伏と学侶
     2節 根来寺の学僧と修験道
     3節 根来寺における修験道の位置
Ⅳ 史料編                 (坂本亮太)
 一 佐武伊賀働書
 二 坂上猶右衛門氏所蔵文書
 解説 根来寺史料について
     1節 近世泉南・紀北地域の地侍・村の由緒
     2節 金石文史料の活用
     3節 根来寺勢力圏を捉える
     4節 聖教史料の活用
 付録
  根来寺谷別坊・院一覧
  根来寺関係論文一覧
あとがきー中世の発見ー        (海津一朗)

ISBN978-4-88621-635-9 C3321
 (同成社 定価7665円<税込>A5判・368頁)

A5版の研究書につき、現地見学用の大判地図類が入ってません。
保存運動の過程で各種を作成していますので、本書をご購入いただき
現地を歩きたいという方は、ご一報ください。


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wakayama.u

Author:wakayama.u
和歌山大学教育学部海津ゼミ(日本史)のブログです。

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