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酒井紀美の新刊『中世社会と声のことば』吉川弘文館

2/8お籠り
藤木ゼミに寄宿していた1年半(看聞御記・長楽寺日記)、
「論文ごとに野々瀬ヒストリア論文を引用できない」
と藤木さんがこぼしていたほどに野々瀬紀美
(酒井旧姓)論文はフェーデ研究の先駆にしてベイシックだ、
と焼き付いている(藤木さんがこう言ったのはたしか
河音能平さんから「なぜ引用しないか」と抗議をうけた由)。
 本書は「声のことば」追究、声とことばではない。
 私のゼミでは、中世民衆の生のことばの再現を
図って収集していた。有名な阿テ河地頭保田の恐喝文言
・オレラガこの麦蒔かぬものなら妻子どもを(残虐シーン)の
ミミキリハナソギ発言。これは大昔入試にも出題していたし
受講生全員に暗記させた。せっかくの暗記力はここで使え笑。
あと荒川悪党の白状、これも現地を地を這って追跡して悪党川関
阿字ガ峰を発見した。これらは、中世取材の演劇実施のセリフ
作りでもあるけど、何よりも中世の空気を感じたかったからだ
と思う。
 だが、このシチュエイションは、ほぼすべて非常に
きついモノばかり。悪口の母開や妻子ども尼にナス、
タカノ村を一村丸ごと焼き払う、ほとんどが女性児童
被差別民の凌辱虐待と過剰な暴力行為ばかりが
「声のことば」に乗ってくる。これを中世の空気と
するなら、それは野生、ユーモラスを通り越して
あまりの乱脈・無軌道・悪質といわざるをえない。

(よく隣のゼミから「海津ゼミがへんなことやってますH:」
と告げ口される所以)
 酒井新著の「声のことば」を読んでいて、それが
いずれも公事裁判にかかわる紛争の一端で形になること
知った。それだからこそ村落フェーデを研究する酒井氏
にとって初源の問題意識の発展となり得るものだったのだろう。
すべてが落ちた。

 明日3年ぶりのゼミコンパと卒論口頭試問なので
ぜひとも学問の刺激を得たいと本日の本を選んでいたのだが。
ゼミ指導と学問とを架橋してくれる著書に巡り合えたことは
幸いであった。最近あまりないことなので
ps追記
そういえば酒井さんとは、西岡の絡みで上京していた
2011?年の民衆史研究会大会(周年)にて御報告前に一言
声かけた。「今日の報告虎之助出てきますか?」
なかなか絵になるシチュエエーションだ








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