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根来惣国を描いた歴史小説 白眉<仙台紀行後記>

武内涼著『秀吉を討て』(角川書店、1600円)
デジタル野生時代に半年間連載された根来忍者
ものが大幅加筆の上で単行本としてついに刊行。
根来寺保存運動の研究成果を踏まえて、独自の
中世惣国を構想した力作。
130909_1644~01


根来棟梁から秀吉の暗殺を命じられた若き林空は、
天下に安寧平和をもたらす徳王ではないか」という
一瞬のためらいのために、小牧長久手の陣・醒井
にて射殺を仕損じる。その後、一年太田城水攻め
に至る体験の中で、「わたしの見てきた全てが―
秀吉を討てと告げている
」と認識を変える…。
 主人公林空の葛藤を通じて、中世惣国の光と影
を浮き彫りにしつつも、統一政権への絶対抵抗を
強く主張する武内氏の構想が看取される。
130909_1035~01
     (「根来寺之図(部分)」マルC武内涼 )
 冒頭の「根来寺之図」には一乗閣移転地城凸
空き地、大湯屋などが描きこまれ、「佐武伊賀働書」を
用いて、寺内の私戦や泉識坊・杉乃坊など蓮華谷川の
要塞や根来寺法度(鈴木真哉・武内雅人の殺生禁断説)
射手林空と弾薬込俊念の2人組の鉄砲連射術など、
惣国首都根来寺研究の最新の成果が反映される。
さらに、山東荘伝法院の惣国寄合や、太田城水攻め
のメカニズムと影響まで、舞台背景が正しく踏まえ
られている。この上に、根来忍者の世界が、
神仏(自然)共生と武装自治の中世のシンボル
として、共感と愛惜を込めて描写される武内構想。
圧倒的な迫力だった。
(それだけにp349~350・3行の事実誤認は残念)

★仙台の集中講義・受講生には、「失われた中世」
レポートの参考にしてもらえればよいだろう。
ゼミ生には、28日からの阿テ河荘蘭島合宿で課題
図書にしようか。
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