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2014年2月9日 北林トモの70回忌

ゾルゲ諜報団事件の最初の検挙者となった
(和歌山県粉河町の自宅で逮捕)北林トモ
(斎藤トモ)が亡くなって70年目の命日
を迎える。
 開戦直前の1941年9月27日に検挙され、
国防保安法・治安維持法違反に問われて
懲役5年の刑で和歌山刑務所に服役し、
敗戦の年1945年2月の大雪の日に重病で
「釈放」され、2月9日に夫の芳三郎達に
看取られて自宅で亡くなった。刑務所を
追われた日は、和歌山気象台の史料により
2月7日とわかった(降雪9.4㎝)。
140205_1652~01
朝日新聞2004年1月13日(*書p2より)
      ★
 中学校の社会科教員になる必修の授業
では、授業の後半に地域史学習を行う。
今年は「秀吉朝鮮出兵と沙也可」の予定
だったが、急きょシラバス変更して、
北林トモの生涯に切り替えた(年末の
NHK特集「日米開戦 情報戦争」から
始めて計5回の集中講義)。できた事は
獄中のトモの様子を記した山代巴の覚書
『囚われの女たち』や、宮城与徳の尋問
調書・判決文、さらに10年前に実施
した粉河町聞取り調査記録*を「群読」
するなど、ごくわずかな作業にとどまった。
 それでも、昨日のレポートを見る限り、
40人の受講生は、それぞれに身近な問題
としてアメリカ帰りの反戦活動家の日常
を深く学んでいたと思う。うち8人は
証言録の影響か「トモさん」と記した。
地元の身近な情報を語ったことが、
スパイ容疑となり獄死に至るという
恐ろしさ、それが今日まで「敵」として
排斥され無視され続けるという根深さ…
戦争の時代の日常に潜む恐怖を語る
レポートが多かった。その上なお、
信念を貫き通して生きることの大切さ
を学んだ、という感想が散見した。
 特定秘密保護法のもとで教職員になる
学生へのメッセージとして意味はあった
のではないか。
今日は朝から粉雪が舞っていた。

*『北林トモ<反戦平和の信念を貫いた女性>史料集
粉河での日々』和歌山大学歴史研究室叢書Ⅱ(2004年)より
私にとっても、10年間封印していた調査記録の
再検証であり、聞き取りテープやビデオを流し
ながらこの10年の時間を問い直していた。
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コメント

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大雪メールもスパイ行為?

北林を取り上げられたそうですね。
「地元の身近な情報を語ったことが、スパイ容疑となり」というのは、ほんとにそうですね。
トモの手紙は、今風にいえば、こんなメール程度のものでした。
「大雪が降り、道の雪かきをしました。近所の農家ではビニールハウスがつぶれて大変なようです。除雪のためでしょうか、国道を自衛隊の車も通りました。」
何が「特定秘密」かも「秘密」だというのですから、トモの時代と同じように、こんなメールでも、「被害があったことを伝えた」「自衛隊の動向を伝えた」からスパイ行為だ、とされる可能性があります。少なくとも、そうされないという法律的歯止めがなくなったわけですね。

ご意見番、おひさしぶりです。

ご意見番、おひさしぶりです。
「史実を歪曲ねつ造した事例を述べよ」などの
出題には、ネトウヨなみのレベルの回答をする
学生の増えてきた昨今、トモ授業への反応には
私も意外でした。来年の「日本家族史」で再度
とりあげようと思いますのでその節にはゲスト
出演よろしく。
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和歌山大学教育学部海津ゼミ(日本史)のブログです。

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