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下鴨神社へ卒論の奉納 随行記

海津ゼミにも伊太祁曽神社に卒論(中世根来寺末社期の
伊太祁曽祭神)を奉納させてもらったゼミ生(56期)は
いたのだが。これは
科研報告書の『中世根来の内と外』で活字になっている。

下鴨神社虫籠奉納

京都造形芸術大学よりちょうど真西1.8kmの場所に、世界遺産 下鴨神社があります。同神宮社家であった鴨脚(いちょう)家で手ずから造った虫籠を、旧暦の8月1日八朔の日に天皇家や皇族家に献上するという、少なくとも17世紀から続く慣わしがありました。ところが、天皇家が東京に移られたことをきっかけに、明治3年(1870年)以降その習慣が途絶えてしまい、明治28年(1895年)に京都市で開催された第4回勧業博覧会で復刻を試みるもうまくいかず、そのまま虫籠制作の技術は失われてしまいました。その最後の虫籠が制作された明治3年(1870年)から数えて139年目の2009年。にわかにドラマが動き出します。きっかけは、当時京都造形芸術大学の歴史遺産学科の先生が、京都市内の古書店で、211点から成る虫籠の部品や虫籠の絵図、文献からなる「鴨脚家旧蔵虫籠関係史料」を見つけ、同学科で購入したことです。最初のチャレンジャーは、同学科2009年度卒業生の濱田恵理さんでした。濱田さんは、自身の卒業研究で同史料の文献を読み解き、「下鴨社家の町並みと文化」と題した論文にまとめました。そこから6年が経った2015年度。歴史遺産学科文化財保存修復コース4年生の海津由布子(かいづ・ゆふこ)さんは、濱田さんの論文も参考にしながら、この虫籠の復元にチャレンジをします。「鴨脚家旧蔵虫籠関係史料」に残されていた虫籠の編型は、そのものが文化財のため利用することができません。そこで、この編型を復元するところから始め、粗い竹籤による試作を経て、本格的な復元に取り掛かったのは2015年の10月頃。最初の完成品は、先日同大学で開催された「2015年度 京都造形芸術大学 卒業展/大学院 修了展」で展示・発表され、学長賞を受賞しました。そして、更に改良を重ねて完全復刻した虫籠がこの度完成し、本日3月15日に下鴨神社に奉納されたのです。真竹の節と節の間の部分を0.33mmほどの細さの籤にして、千枚通しとピンセットで編んでいくという、大変細かな作業をやり通してできあがったその虫籠は、大変繊細で美しいものでした。そして、146年ぶりに再びその技術が蘇った事実に、史料を残された先人からのタイムカプセルのプレゼントを受け取ったような感動を覚えました。ところで、史料に記された虫籠は、サイズが大・中・小の3種あったそうで、今回の復刻は一番大きいサイズのもの。海津さんは卒業後、時間を見つけて、更に小さいサイズの虫籠の復刻にチャレンジするとのこと。次のタイムカプセルが開かれる日が楽しみです。下鴨神社:http://www.shimogamo-jinja.or.jp/index.html#歴史遺産学科 #下鴨神社 #虫籠 #ShimogamoShrine

京都造形芸術大学(Kyoto University of Art and Design)さんの投稿 2016年3月15日

京都造形芸術大学(Kyoto University of Art and Design)広報 抄
下鴨神社社家であった鴨脚(いちょう)家で手ずから造った虫籠を、旧暦の8月1日八朔の日に天皇家や皇族家に献上するという、少なくとも17世紀から続く慣わしがありました。明治3年(1870年)以降その習慣が途絶えてしまい、明治28年(1895年)に京都市で開催された第4回勧業博覧会で復刻を試みるもうまくいかず、そのまま虫籠制作の技術は失われてしまいました。2009年、京都造形芸術大学の歴史遺産学科が、京都市内の古書店で、211点から成る虫籠の部品や虫籠の絵図、文献からなる「鴨脚家旧蔵虫籠関係史料」を見つけ、購入しました。同学科2009年度卒業生の濱田恵理さんは、同史料の文献を読み解き、「下鴨社家の町並みと文化」と題した卒業論文にまとめました。2015年度歴史遺産学科文化財保存修復コース4年生の海津由布子(かいづ・ゆふこ)さんは、濱田さんの論文を参考にして、この虫籠の復元にチャレンジをします。
  「鴨脚家旧蔵虫籠関係史料」に残されていた虫籠の編型は、そのものが文化財のため利用することができません。そこで、この編型を復元するところから始め、中川竹材店さんにご協力をいただきながら、粗い竹籤による試作を経て、本格的な復元に取り掛かったのは2015年の10月頃。最初の完成品は、先日同大学で開催された「2015年度 京都造形芸術大学 卒業展/大学院 修了展」で展示・発表され、学長賞を受賞しました。
 そして、更に改良を重ねて完全復刻した虫籠がこの度完成し、本日3月15日に下鴨神社に奉納されたのです。
真竹の節と節の間の部分を0.33mmほどの細さの籤にして、千枚通しとピンセットで編んでいくという、大変細かな作業をやり通してできあがったその虫籠は、大変繊細で美しいものでした。そして、146年ぶりに再びその技術が蘇った事実に、史料を残された先人からのタイムカプセルのプレゼントを受け取ったような感動を覚えました。
ところで、史料に記された虫籠は、サイズが大・中・小の3種あったそうで、今回の復刻は一番大きいサイズのもの。海津さんは卒業後、時間を見つけて、更に小さいサイズの虫籠の復刻にチャレンジするとのこと。次のタイムカプセルが開かれる日が楽しみです。
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